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2017/1/5
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2013年、英オックスフォード大学のマイケル・Ａ・オズボーン准教授が「人工知能の発展に伴い、10年後には人間の仕事がなくなる 」というショッキングな論文を発表しました。2015年には 野村総合研究所が同教授と共に「日本の労働人口の49％が人工知能やロボット等で代替可能になるという試算」が公開されています。そして2016年3月、Google社の開発した人工知能(以下AI)の囲碁プログラム『アルファ碁』が プロ囲碁棋士の李セドル九段との対局に勝利をしたのは記憶に新しいニュースです。AIが人間に勝利するのはまだ10年以上掛かるといわれていただけに衝撃を受けた人も多かったのではないでしょうか。
一方で日本では『2025年問題』と呼ばれる、日本全人口の4人に１人が後期高齢者という超高齢化＆少子化社会へと突入するといわれています。リクルートワークス社の調査結果によると「2025 年に向けては、人材不足と人材余剰が同時発生する。“人が余っているの に、人が足りない”、“仕事があるのに、仕事に就けない”というような事象が、広範囲に、ただし局所的には今までよりも解消が難しい形で発生する」とも言われていています。
そんな中、カナダのCTS inspired minds career2030というサイトで、2030年の仕事として非常に秀逸な視点から仕事事例を公開しているので、数回に分けて紹介したいと思います。
第4次産業革命 とも言われるAI技術の台頭による産業構造の変化と日本が向かえる社会課題の中で、どのような経験を積みどんなスキルを身に付けるべきかというヒントになるかもしれません。
※inspired minds career2030 とは…
教育と専門的なキャリアパスの視点からカナダの未来ビジョンを示したものです。 カナダの奨学金信託財団によって運営されている、カナダの子供のための高等教育を支援するための奨学金制度の専任販売代理パートナーのCTSが運営しています。
膨大なデータから何が面白いのかを把握し、洞察力を備えた結論を導き出しすビッグデータアナリストは、2030年にはより重要な役割をになうことになる。ビジネスシーンにおけるビッグデータアナリストは、現場のオペレーションチーム、会計士、ストラテジスト、そして経営幹部層の重要なメンバーの一員となるだろう。また、政治の世界においては政治指導者がより効果的な公共政策を策定するサポートを行う。数学、経済、統計、コンピュータサイエンスのトレーニングは必須だが、人々や文化を理解する必要もあるため、社会学、心理学、文学などの知見は大きな利点となる。
両親が共働きという時代においては幼児期の教育をする極めて貴重な存在である。テクノロジーの進歩により、先生が子供を教えるためのツールや情報が広ががることになる。例えば、栄養についてのエクストラコースを子供の初期成長段階において導入することができる。そうすると遊びながらより栄養価の高い食べ物を学べるような指導方法が開発されるようになる。このように、幼いうちから生涯にわたり生きていくうえで重要なスキルを身に付けらるような教育を施せるようになる。また、高度なレベルでの児童心理学を訓練できるようなるため、障害のある児童に対してもより効果的なアプローチをとれるようになるだろう。
2030年には学校では生徒の健康状態をモニタリングし、適切な体育授業や給食を提供できるようになる。また生徒達は自らその健康情報や栄養士のガイダンスにアクセスするようにもなるだろう。栄養士は、担任教師と共に健康に関する基礎教育を行い、また健康的な食材を購入し調理する方法も教えることが仕事になります。
さらには、生徒の遺伝子情報から健康に役立つ長期的な食育プランを作成していくことになります。この仕事は栄養士としての知識以外にも、子供達と密接に関わりあうため、分かり易い言葉を使う能力が必要となり、忍耐力と感受性も重要な要素となる。
探せば必要な情報がインターネット上には存在するため、図書館としての役割は単なる本という情報媒体を格納する施設ではなくなる。文化イベントや、グループミーティング、読書サークルなどのホストとなり、周辺地域のコミュニティとのつながりが深まることになる。2030年の図書館は、博物館、劇場、公演、学校などの要素を融合し地域社会に貢献するためのスペースとなる。図書館員の役割は多岐に渡り、情報システムの設計、データの視覚化、資源管理などの図書館技術に加え、地域コミュニティの支援者でもありコーディネーターとなるだろう。
義務教育制度では、全ての子供が平等な教育を受けるのが通常だが、現実的には、子供達の学習スタイルや興味、得意分野は異なっていることは言うまでもない。今後は生徒に合わせたパーソナライズ、カスタマイズされた学習が主流となる。しかし同時に解決しなければいけないのが、多様性を活かしつつも、コアスキルについてはどの生徒も平等に習得しているべきことだ。カリキュラムスタンダードオフィサーはこのように全ての生徒にコアスキルを習得させつつ、生徒個人の特性に合わせた最適な教育プログラムを作成することが役割となる。大学院などでの学習心理学を習得することが、カリキュラムオフィサーのキャリアを支援することにもなる。
住宅価格の向上により若い世代の家族にとって支払いが困難になる。そのため、親族や友人と共同で大きな家に住むことになることが予想される。このような新しいタイプの建物には、オフィス、洗濯施設や宴会場、子供の遊び場や公園があり、それを共有している。この共同住宅契約においては車両などもシェアされる場合があり、もちろん抵当権や財産もシェアすることになるが、それを管理し整理する担当者が必要となる。レジデンスマネージャーは共同住宅の財産や所有物等のプロパティ運営を行う役割を担う。不動産プロパティ管理者が適任だが、そこに住む人々に対して共感し、公平に判断を下すスキルが求められることになる。また、保険や財務スキルが居住者に利益をもたらすような仕事も発生する。
十分な技術と知識を持ち、柔軟性があり、そして生涯学習者となるような若者を教育するためには、優秀で創造性豊かな先生が必要になる。2030年の学校の先生は、教室内で授業を行うだけでなく、例えばインド洋でのスキューバダイビングから、エジプトのピラミッドを探索することになる。また世界中の遠隔地のコミュニティと生徒をつなぐことによって、学習を強化させていく。
既に世界一長寿の日本においては、2014年以降に産まれた子供は109歳まで生きるといわれています。これから産まれてくる子供達が生涯に渡って生きていくうえでの教育は非常に重要視されるようになります。そのため2030年には特に幼少時の教育者へ求められることが非常に大きくなるということです。
よって、画一的な教育ではなく、ビッグデータを駆使しながら(あるいはビッグデータアナリストと共に)、最適にカスタマイズされた教育が求められます。また図書館司書やレジデンスマネージャーのようにこれまでとは全く違うコミュニティを運営するスキルの価値が高まるようです。
次回は農業分野における2030年の仕事を紹介したいと思います。
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