転職コラム

2017年3月7日

【連載】あなたの知らない、2030年のシゴト ~「ヘルスケア分野」編~

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【連載】あなたの知らない、2030年のシゴト ~「ヘルスケア分野」編~

 2013年、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が「人工知能の発展に伴い、10年後には人間の仕事がなくなる 」というショッキングな論文を発表しました。2015年には 野村総合研究所が同教授と共に「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能になるという試算」が公開されています。そして2016年3月、Google社の開発した人工知能(以下AI)の囲碁プログラム『アルファ碁』が プロ囲碁棋士の李セドル九段との対局に勝利をしたのは記憶に新しいニュースです。AIが人間に勝利するのはまだ10年以上掛かるといわれていただけに衝撃を受けた人も多かったのではないでしょうか。
 一方で日本では『2025年問題』と呼ばれる、日本全人口の4人に1人が後期高齢者という超高齢化&少子化社会へと突入するといわれています。リクルートワークス社の調査結果によると「2025 年に向けては、人材不足と人材余剰が同時発生する。“人が余っているの に、人が足りない”、“仕事があるのに、仕事に就けない”というような事象が、広範囲に、ただし局所的には今までよりも解消が難しい形で発生する」とも言われていています。

 そんな中、カナダのCTS inspired minds career2030というサイトで、2030年の仕事として非常に秀逸な視点から仕事事例を公開しているので、数回に分けて紹介したいと思います。

 第4次産業革命 とも言われるAI技術の台頭による産業構造の変化と日本が向かえる社会課題の中で、どのような経験を積みどんなスキルを身に付けるべきかというヒントになるかもしれません。

※inspired minds career2030 とは…

教育と専門的なキャリアパスの視点からカナダの未来ビジョンを示したものです。 カナダの奨学金信託財団によって運営されている、カナダの子供のための高等教育を支援するための奨学金制度の専任販売代理パートナーのCTSが運営しています。

ヘルスケア分野/Manufacturing and Constructio

●ウェアラブルテクノロジーセラピストWearable Technology Therapist
 2030年のウェアラブル技術はさらに進化し、小型化しあらゆる場所やモノとネットワークで繋がるだろう。またファッションと馴染むように目立たなくするデザイン性も進むことが予測される。
 このウェアラブル技術は特に知覚障害、聴覚障害をもつ人々に非常に有用であり、日常に掛かる負荷を大いに軽減させることができる。
 しかし一方でウェアラブル技術は人体に影響を与える可能性もある。例えばどんなに軽量化されたヘッドギアであっても時間の経過と共に首に負担を与えたり、装置から発する放射線に寄る人体への影響可能性が出てきたりする。ウェアラブルテクノロジーセラピストは、ウェアラブルテクノロジーが人体に与える影響を把握し、理学療法や栄養の観点からサポートをすることになる。

●外科医(遠隔手術)Tele-surgeon

 人間の手の代わりにロボットで手術を行う遠隔手術は特に過疎化した地方に革命を起こすことができる。過疎化が進む地方にはおおよそ小規模の外科チームが設置されているが、その環境設備は一般的な対応しかできない。緊急時には、これまでヘリコプターで患者を輸送していたが、ドローンにより遠隔手術ユニット(ロボット手術ツール、スキャニングとセンシング装置、高速ネットワーク機器)を運び遠隔手術を行うことが可能になるだろう。

●保険商品マネージャーInsurance Product Manager

 テクノロジーの進歩により保険商品にコスト面で大きなインパクト与えることになるだろう。自動運転自動車は通常車より安全性が証明されているため、自動運転自動車を所有していると自動車保険と生命保険の両方に割引を受けることができるよになる。ほかには、ウェアラブルフィットネス機器の購入は生命保険プランの割引対象になることもある。2030年の保険商品管理者はそれら技術に精通し、保険商品と共に適切に顧客に伝えていく必要があるだろう。

●薬剤師Pharmacist
 2030年、薬剤師のサービス内容は大きく拡大しているだろう。薬の調剤に加えて、患者の健康に関するカウンセリングも行っていくようになる。
 また、高齢化が進む社会においては、患者が薬局に足を運べないケースが増えるため、養護施設やホスピス内での勤務や個人宅への出張をする可能性もある。技術の進歩により調剤時間を減らず代わりに、ほかの医療関係者と共に地域コミュニティへの積極的な参加が求められるようになる。

●看護師と医師助手Nurse Practitioner and Physician’s Assistant
 高齢化が進む先進諸国では、高齢化に特化した看護師や医師助手がより重要な役割を果たすことになる。患者カルテやスケジューリング、その他文書はほぼすべてデジタルになる。
 しかし、血の通った生身の人間が1対1のケアをすることの代わりをできるかというと、システムや機械には到底無理だ。彼・彼女達の仕事は定期的な身体検査、病気の診断・治療など家庭医師とほぼ同じ役割を持ち、予防保健に関するカウンセリングも行うだろう。生物化学や臨床科学の知識をベースに実践経験を豊富に積み、また新しい技術に精通していくことが求められるはずだ。

●ゲロキネシオロジスト(高齢者向け運動療法士)Healthcare Navigator

 先進国諸国で進む高齢化は2030年には、高齢者の健康を守ることがこれまで以上に重要になる。適度な運動が記憶力に影響し老化を遅らせることが研究結果から分かっているからだ。高齢者のケアと運動療法の研究を組み合わせたゲロキネシオロジー(高齢者向け運動療法)は、健康寿命を延ばすためのトレーニングとして取り入れられることになる。また高齢化したプロスポーツ選手にアドバイスすることになるかもしれない。

●ヘルスケアナビゲーターGero-kinesiologist
 ヘルスケアナビゲーターの仕事は、患者を含めたその家族と病院の間に立ち、複雑な医療システムを分かりやすく伝え、家族のストレスを軽減させ、安心させることである。患者やその家族からの質問や難しい選択を迫られた場合にフォローができるガイドの役割を果たす。ほとんどのナビゲーターは元看護師であるが、これからは新しい世代のナビゲーターが増えていくだろう。医療システムの知識はもちろんのこと、社会福祉の観点からも適切なアドバイスをすることが必要だ。

●認知行動療法士Cognitive Behavioural Therapist

 近年の認知科学は、人々がどのように意思決定を行い、どのスキルを使うか(もしくは使うべきか)という「意思決定デザイン」においての研究をしている。この研究領域は人々が最良の選択肢を作り、不要なリスクを回避するためのものであり、優れた意思決定は人生を有意義に送ることができる基盤となる。
 2030年の認知行動療法士は、間違った生活習慣から抜け出せずにいる(例えば不健康な食生活を送っている人)顧客に対して、カウンセリングを実施し自ら悪い週間を克服する手助けをする。これはヘルスケア分野だけなく企業の意思決定においても効果的になるだろう。

●ヘルスコーチHealth Coach
 食生活と運動は健康に大きく影響するが、その影響度には個人差がある。今後人々は遺伝子情報から自分をより深く知り、自分用にカスタマイズされた食生活やフィットネス習慣を構築していくようになる。ヘルスコーチはあらゆる食べ物とその調理方法や食べ方に精通するようになる。
 2030年にはほかの分野と補完しあうようになるだろう。例えば薬剤師とペアを組んだり、運動カウンセラーとペアを組み、人々が長く健康的な生活を送るための計画を手助けするようになる。またこれまでは医療専門家の分野であったが、今後はシェフが専門家としてこの分野に参入してくることも予想される。

 ヘルスケア分野においてはなんといっても高齢化社会に対応する職業がたくさん紹介されていました。世界で一番初めに超高齢化社会を迎える日本において参考となる情報ではないでしょうか。
 テクノロジーや研究が進み手術技術そのものの精度や、遠隔手術、薬品が進化し健康寿命が延びていきます。今20歳の人は平均寿命100歳、40歳の人は平均寿命95歳とも言われている世界において、医療分野に関わる人達は様々な専門家同士のネットワーク構築が必要になります。
 また今回の職業を振り返ると、専門技術を習得することはもちろんですが、総じてより人間を理解することが求められていくことも重要なポイントではないかと感じました。いずれにしろ今後需要が伸び続ける分野であることは間違いありません。

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