【書評】ルールの歴史を網羅する!『ルールの世界史』

【書評】ルールの歴史を網羅する!『ルールの世界史』

みなさんは、「なんでこんなルールがあるの?」と、思ったことはありませんか?一般的にルールは「守る側が守られる」といった原理に基づいています。しかし真実は逆で、ルールは「作った側が守られる」という仕組みでした。そこで今日は、ルールの歴史から、ルールの根本原理について学びを深めます。


著者・あらすじ

伊藤毅

弁護士。フレックスコンサルティング代表取締役。1971年生まれ。早稲田大学大学院法学研究科修士課程(商法専攻)終了。1999年弁護士登録。外資系法律事務所等を経て、ルールメイキング/スキームメイキングに特化したフレックスコンサルティングを創設。民間企業の戦略立案支援のほか国の政策立案支援等も多数従事。

あらすじ

弁護士が「ルール」の歴史についてまとめます。「ルールの必要性」「なぜルールが必要なのか?」「ルールの生まれ方」など、ビジネスに不可欠とされる「ルール」について学びを深めます。

1. なぜルールが必要なのか?

そもそもですが、なぜこの世には、ルールが存在するのでしょうか?その答えは、ルールがなければ「面白くない」からです。もしルールがなければ、秩序が乱れ、やりたい放題の混沌とした状態へ陥ります。これはどんなことにも当てはまり、ただの「遊び」でさえ、ルールは不可欠だったのです。小さい頃、友達と遊んでいて、ルール違反をする人がいると、一気にしらけてしまったことはありませんか?どんなに楽しい遊びでさえ、ルールがなければつまらないものとなってしまうのです。

ではなぜ、遊びにはルールが必要なのでしょうか?それは、遊びというものが、「条件」と「結果」という2つの要素から成り立っているからです。「鬼ごっこ」は、1人の鬼が、その他の人を追いかけ、鬼がタッチするとタッチされた人が鬼と交代します。つまり、鬼ごっこの条件は、「鬼がタッチする」で、その結果「鬼の交代」が発生するのです。このように、条件を達成することで、新しい結果を生み出すといったルールのおかけで、鬼ごっこの楽しさは担保されるのです。

著者は、もう一つ「面白さ」を決めるものがあるといいます。それが「ルールの巧拙」です。そもそも多くのルールは、技能と偶然のバランスをうまく作ることで面白さを生み出しています。そして、条件はその難易度と調整を行うことで決められます。例えば、サッカーのゴールがあまりにも小さかったら、なかなか点が入らず、ほとんどの試合は引き分けとなるでしょう。これでは面白くありません。そうかといって、ゴールがとてつもなく大きかったら、簡単に点が入ってしまい、面白くはなくなるでしょう。このように、ルールはただ存在するわけではなく、ルールの巧拙が面白さを決めているのです。

2. どんな世界でもルールは不可欠

ルールは、ゲームや遊びの世界以外にも必要です。実のところ、お金の世界でもそれは同じだったのです。1602年、オランダの首都アムステルダムに、世界最古の証券取引所が開設されました。当時、高級品から証券まで盛んに取引が行われていました。中でも人気だった商品が「チューリップ」です。オランダの代名詞とも言われるチューリップは、高値で取引される高級品でした。しかし、チューリップは球根を見ただけでは、どんな花になるのかは、専門家でもわからないと言われます。どんな花かわからないのであれば、そもそも取引なんてできません。チューリップの取引は、そんな根本的な問題を抱えていたのです。

それでも人気のチューリップは、1610年に入るとさらに高騰し、球根が地中にあるうちから高値で売る「空売り」、つまり先物取引が行われました。この状況が後にどうなるかは、簡単に予想することができます。言わずと知れた「バブル」です。このようなブームは長くは続かず、1637年にはピークを迎え、あれだけ人気だったチューリップの球根は、その日、まったく値段がつかなかったのです。未払いの支払いが残っている契約も多数あり、これらが履行できない場合、連鎖的な不履行が発生、信用がガタ落ちになる危機に見舞われます。

この状況に、オランダ内の各都市の議員、チューリップの栽培家たちは、信用不安の解決方法に乗り出しますが、時すでに遅し。議会はこの件について丸投げで、契約の処理は当事者同士の解決に委ねられることになります。結局、解決には長い時間を要したのです。このことから、世界初のバブルという信用危機は、「どんなルールで対策するか」を考えるきっかけとなったのです。

3. ルールの生まれ方

ルールはなぜ必要かがわかりました。次に気になるのは、「ルールはどうやって生まれるのか?」についてです。ルールが生まれる理由は、遊びやスポーツの「楽しいから」といったものと、「お金儲け」や「企業を育成するため」といった「ビジネス」があげられます。突き詰めると、これらはいずれも人の欲求を開花させるものであり、共通の要素があったのです。著者はその要素を「楽しそうな未来像」と表現します。

例えば、世界初の株式会社と言われる「東インド会社」は、人々の安心感と期待感を膨らませ、大量のお金を集めました。東インド会社の未来像は「南蛮貿易」。それは他でもない、楽しそうな未来像があったから、結果としてお金が集まったのです。このようにルールは、未来の可能性を感じる欲求が開花されるツールだったのです。ただひとつ、付け加えないといけないことは、この「楽しそうな未来像」だけでは、ルールは自然発生しないことです。

実のところ、ルールメイキングには、「破壊者」が必要だったのです。それを証明するのは、「サッカーとラグビーのルール」です。実のところ、サッカーとラグビーのそれぞれのルールは、ルールを作るひとたちの「わがまま」によって生まれました。当初、統一したフットボールのルールを作ろうとしていたにも関わらず、ルールを作る人たちが自分の都合で議事を捻じ曲げ、結果的に2つのスポーツのルールを生み出したのです。このように、ルールは「未来像」というエネルギーによるものと、「破壊者」のわがままによって生まれるという性質があったのです。

まとめ

『ルールの世界史』をご紹介しました。著者は最後に「『ルール=ツール』教の布教本といえるかもしれない」と述べています。そもそもルールは、決定権者の都合によって生み出したものです。しかし、現代はインターネットやSNSといった「知が拡散した時代」です。これにより、ルールをツールとして活用できる時代となったのです。ビジネスにおいて、このルール=ツールを使うことで、新たな結果を生み出すことができるでしょう。

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