著者・あらすじ
望月俊孝
「魔法の読書法」開発者・提唱者。昭和32年山梨県生まれ。上智大学卒。ヴォル テックス代表。夢実現を加速するツール「宝地図」、世界に広がる「レイキ」、 セルフ・イメージを90分で書き換える「エネルギー・マスター」提唱者。国際レ イキ普及協会主宰。日本ライフセラピスト理事。10万部をこえるベストセラーや 『[新版]幸せな宝地図であなたの夢がかなう』(ダイヤモンド社)、『「やりた いこと」を先送りしてしまう自分が変わる本』(フォレスト出版)をはじめ著書 は34冊、累計85万部を発行。
あらすじ
ベストセラー作家が、本物の「速読術」についてまとめます。「成功者に読書家が多い理由」「読書の効果」「魔法の読書術とは?」など、速読に挫折してしまった人にぴったりの読書法をお届けします。
1. 成功者は読書家
情報化社会を築いたとされる三大巨人、ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、アラン・ケイ。彼らはなぜ、あのような偉業を成し遂げることができたのでしょう?結論は、彼らの共通点から察することができます。それが「読書」です。ビル・ゲイツは、常に10冊〜15冊の本を鞄に入れていて、「1時間で150ページを読み、90%頭に定着させる」と言います。スティーブ・ジョブズは、高校時代から読書へ傾倒し、人生の予習をしてきました。アラン・ケイは幼少のころから異常なほどの読書家で、2歳半ばで文字が読めるようになり、小学校に通う頃には、年間400冊の本を読んでいたといいます。
これを踏まえると、デジタル社会といった誰も経験したことのない技術を開発できたのは、他でもない「読書」が起因していることが伺えます。ではなぜ「読書」をすると、成功できるのか?読書をすることで、脳の中は一体、どのようになっているのでしょうか?実のところ、最新科学によれば、読書中の脳は極めてアクティブな動きをしているといいます。研究者のデイビッド・ローズは「文字を読む脳」の役割を「パターン認識」「ストラテジー(戦略)の計画」「感じること」の3つにまとめます。脳は文字を読むことで「パターン」を認識し、そして仮説を検証し、「戦略」の計画を行います。最後に、喜びや恐怖、嫌悪などを「感じる」といった役割を果たしています。
計画を立てて、実際に観察・検証した上で現場からくるインスピレーションを味わうといった流れは、ある種の「冒険旅行」に似ていることがわかります。ここからわかることは、脳は、文字を読んでいる時、冷静な仮説検証をしながら、さまざまな感情を表すことです。つまり「読書」は、「学習の王様」といっても過言ではなかったのです。
2. 読書がもたらす効能
著者は「読書をすると、人生が上手くいく」と述べていますが、そのメカニズムとは一体、どんなものでしょうか?キーワードとなるのが、「質問」「会話」です。
「質問」
人は「既知の解説」ではなく、「未来への質問」を持つと、行動し、変化できるようになります。著者が紹介しているのは、ハーバード大学での研究結果で、48名の未就学児に、カラーの塩ビパイプを組み合わせたおもちゃを見せます。このおもちゃには、チューブをひっぱると音が鳴ったり、隠しボタンを押すと光が出たりと、さまざまな仕掛けが施してあります。子供たちの前でその様子を見せ、次の2つのパターンで実験します。
① 「こうすれば音が出るよ」と仕組みを解説する
② 「変だね!もう一回やってみようか」と驚いてみせる
その結果、①よりも②の方が、約48%も多く仕掛けを探索していたのです。このように、人は「解決済み」の知識や情報を説明されるよりも、「未解決」の事態が与えられた方が、はるかに行動的になることがわかったのです。
「会話」
「会話」が人生を豊かにする理由は、「読書は脳にとっては“社交”。会話をリードするのは、読書量が多い人」だからです。プリンストン大学は、自然な会話をしている者同士の脳の活動について、次のような研究を行います。会話をしている両者に工学マイクをつけて、fMRIで双方の脳の神経活動を記録しました。その結果、話し手も聞き手も、右脳・左脳問わず、幅広い領域で神経結合が起きていたのです。これにより、単なるおしゃべりが、脳全体を活性化させていることがわかったのです。では、どうしたら神経結合を高めることができるのか?最も効果的なのが、「読書」です。読書は、著者のメッセージを一方的に受け取るものですが、そこで考え、時に反論したりすることでトレーニングできるからです。
3. オーディション・リーディング
本書のタイトルでもある「魔法の読書法」。どんな読書法なのかというと、「オーディション・リーディング」と言われるものです。「オーディション・リーディング」とは、速読法のことで、これを使えるようになると、約10~15分で行動に繋がる一節を見つけることができるようになります。「オーディション」といったように、「本の面接官」になり、自分が本を選ぶ立場になることを前提とします。そのステップは10にも及びますが、全ステップを完璧に取り入れなくても可能で、たったの1ステップでも効果が期待できると言います。ここで紹介するのは、第1のステップ「今、読書で解決したい課題・得たい目的を明確にする」第2のステップ「リラックスして速読脳を目覚めさせる」です。
「今、読書で解決したい課題・得たい目的を明確にする」
これは、オーディション・リーディングで、もっとも大切なことで「何のためにこの本を読みたいのか?」を明確にすることです。ただ読むだけでなく、それを活かす目的を探します。コミュニケーション能力を上げたい」「マーケティングの技術を身につけたい」など、「自分がどんな存在になり、どんな夢を叶えるのか?」を念頭に本を選び、読んでいきます。
「リラックスして速読脳を目覚めさせる」
速読に欠かせないのが「集中」です。しかし、人は集中しようとすると、返ってストレスを感じ緊張してしまうものです。そこで必要なのが「リラックス」。著者はリラックスする方法として、「姿勢」を重視します。「姿勢」とは、厳密にいうと、「意識の持ち方」のことで、目は前方の本に向け、文字を追うが、心(意識)は後方に置いていくといったものです。これにより、長い間、集中力を高めることができるのです。
まとめ
『未来へ導く 1%の人だけが知っている 魔法の読書法』をご紹介しました。著者は最後に「本への最大の恩返しは、その本を実践してあなたが幸せになること」と述べています。本はどんな投資より、費用対効果の大きいものです。しかし、そこから得られたものを自分の中にだけ留めておくことは、宝の持ち腐れとなります。本で学んだことを実践することで、さらに大きなリターンを得ることができるでしょう。