【BizGenic】#18 藤田薫さん / セールスサポート部長 シニア・プロダクト・ストラテジスト

【BizGenic】#18 藤田薫さん / セールスサポート部長 シニア・プロダクト・ストラテジスト

自分らしくイキイキと働く人の姿は、誰の目にも魅力的に映ります。『BizGenic』(ビズジェニック)は、そんな働くことを楽しむ女性にフォーカスしたインタビュー企画です。彼女らの仕事に対する姿勢やプライベートの楽しみ方、元気の源は一体どこにあるのかを探ります!


BizGenic プロフィール #18

フィデリティ投信株式会社
藤田薫(ふじた・かおる)さん

2005年、新卒でフィデリティ投信に入社。大学時代に経済を学んだ経験や証券会社での勤務をする中で、「お金に働いてもらう」という考え方に共感。その概念を広く浸透させたいと、入社当時から全国各地を回り、のべ1000回以上のセミナーを行う。金融ビジネスの第一線で大手の証券会社や銀行の本部に対して投資信託の提案を行うほか、社内で女性の社会進出のためのプロジェクトを立ち上げるなど様々な場面で活躍。イギリス・ロンドンに赴任した経験もあり、帰国後の2018年にセールスサポート部長に就任。現在は海外の運用部と連携を取りながら、日本の投資家に向けて情報提供を行う。プライベートではイタリア人の夫とマイホームで二人暮らし。夏休みに海外で夫とセーリングをするのが楽しみだという。

節約だけでなく、「お金に働いてもらう」という考えを広げたい

大学時代に経済や国際関係の分野を学んでいましたが、3年間で卒業に必要な単位を取得してしまったので、4年生になると週1回だけゼミに通い、残りの4日間は外資系の証券会社で働くようになりました。その職場では、最前線で収益を生み出す営業やトレーダーの人たちのサポート業務に携わっていたのですが、実際にフロントで働く人たちの活躍ぶりを見ていくうちに、「私もビジネスに直結する仕事がしたい!」と憧れを抱くように。また、日々の仕事の中でこんなことも思うようになりました。

当時は、「失われた20年」と言われるほど長らく経済が停滞していた時代で、テレビや雑誌で度々節約の特集が組まれるなど、世の中が「いかにお金を使わないか?」という方向に向かっている気がしました。でも、一方で上手に投資や資産形成をすることで「お金に働いてもらう」という考え方もある。証券会社で仕事をする中でそのことを強く実感するようになり、そうした概念をもっと日本国内に広げていきたいと思うようになったんです。

就職活動では、自分の憧れや思いを叶えられる職に就きたいと、外資系金融機関のフロント業務に的を絞りました。運よくフィデリティ投信への入社が決まり、新卒で入って間もない頃から、投資に関する知識を一般に向けて広げていく営業の仕事に就くことができました。

全国各地を回り、初めて投資をされる方々を対象にセミナーを実施。「なぜ、私たち日本人にとって今後投資が必要になるのか? 投資信託とは何なのか? フィデリティの投資信託は他と何が違うのか?」など、一つひとつお客様に説明していきました。北は北海道から、南は鹿児島までスーツケースを引いて一人で現地に向かうことも。日曜日しか東京に帰ってこないという多忙な日々が続きましたが、のべ1000回以上、セミナーでお話させてもらったことは自分にとって大きな糧になりました。

ある時、私がスピーカーとして講演をしたセミナーで、こんな思いがけない出来事がありました。

セミナーに来たお客様からもらった、心に残る一言

数百名の方の前で日本経済と日本株式に投資する投資信託に関するセミナーをした時のことです。終了後に、私のもとにお客様が列をなして集まってくださり、その中の投資経験豊富なシニアの方がこう言ってくれたんです。「女性がこんなに立派に経済についてプレゼンをするような世の中になったなんて、すごく誇らしい。あなたのことをずっと応援してるからね」、その言葉がとても胸に響き、感激したのを覚えています。

普段、法人のお客様と商談をしている時、その場にいる10人のうち、女性は私1人だけというシーンが度々ありました。金融ビジネスの世界ではまだまだ女性は少ないですし、逆に言うとこうして性別に関係なくチャンスをもらえている自分はずいぶん恵まれた環境にいるのではないかと気づきました。実際、フィデリティは女性の管理職が数多く活躍しています。セミナーでのシニアのお客様の言葉から、改めて自分が今いる環境への感謝が湧いて、「女性がもっともっと社会で活躍したり、お金や経済について気軽に話したりできる世の中になってほしい」と思うようになったんです。

そんな折、2013年にロンドンの同僚が女性の社会進出を応援する「Fidelity woman’s network(フィデリティ・ウーマンズネットワーク)」という組織を立ち上げ、その同僚が来日した際に理念や活動内容について話を聞き、非常に感銘を受けました。「こうした組織を日本にも作りましょう」と当時の東京オフィスの社長と人事部長に提案し、発起人として2015年に活動をスタートさせることになりました。世の中には優秀かつ有能な女性はたくさんいますが、男性よりも自信を持って前に出ていくことができなかったり、大きなチャンスが来ても「私はまだまだ」と手を挙げきることができていないように思います。そうした女性たちが知らず知らずのうちに抱えてしまっている引け目や遠慮を解き放ち、マインドを変えていくようなセッションを外部の講師の方を呼んで行ったりしました。

現在は、このコミュニティが世界各国に広がって、「Fidelity for everyone(フィデリティ・フォー・エブリワン)」という組織に成長。女性だけでなく、LGBTも含めたダイバーシティ(多様性)の考え方を浸透させる活動にシフトしました。性的マイノリティの方はもちろん、子育て中や介護をしている社員もお互いの状況を理解し合い、支え合いながら働ける環境がますます整っていることを嬉しく思いますし、私自身、この活動を思い切って始めてよかったと感じています。

世界有数の運用担当者との出会い。本物の仕事を肌で感じた

これまで、大手の証券会社や銀行の本部に向けて投資信託のご提案をしたり、日本の金融機関が今後どういう方向に向かっていきたいのか、ビジネスパートナーとして共に考えるお手伝いをしたりと、やりがいのある仕事を長くさせてもらいましたが、中でもキャリアの転機になったのが、半年間イギリス・ロンドンに赴任した時でした。

現地では、投資の全責任を負っている世界有数のポートフォリオ・マネージャー(運用担当者)が活躍していて、彼らの仕事ぶりをそばで見ることができたのは貴重な経験になりました。運用担当者たちは、日々ベストな投資先を見つけるために、世界的な優良企業なども含めた経営陣に場合によっては一日5人ほど直接面談をして、ヒアリングを行います。当然、面談をするためには的確な質問を投げかける必要があるため、準備を怠ることができません。そして面談後にすぐ分析をし直して、投資判断を行う。このような厳しくもタフな毎日を送り続けているんです。

市場が不安定になった時、一般の投資家の方なら、精神的に不安になることもあると思いますが、彼らはそうならないだけの強い精神力を携えています。それは膨大な金融知識と情報量、鍛え上げられた洞察力が生み出した賜物なのだと確信しました。そうした卓越したプロの仕事ぶりを肌で感じたことは大きな刺激になりましたし、彼らの手腕による素晴らしい商品を日本でも提供できていることにますます誇りを感じました。

帰国直前に、今後の仕事の方向性を上司と話していく中で、「そうした海外のエキスパートの運用担当者からの情報や知識を日本の投資家の皆さんに伝えていく、いわば“架け橋”になるような役割を担っては?」という話に。そのことがきっかけとなり、日本の公募投資信託としては最大規模の投資信託のシニア・プロダクト・ストラテジストに着任しました。さらに2018年1月には部長に就任することになりました。現在は、海外の運用部と連携しながら日本のお客様にどういう情報をどういう見せ方で提供すると役立つのか? 7人のメンバーとともに日々頭を悩ませながら、様々な施策を打ち出しています。

最近、チーム全体で挑戦を試みたのは、優れたデザインのコミュニケーションツールに贈られる「Universal Communication Design Association (UCDA) Award」に、自分たちで作った作品(米国株式に投資する投資信託に関する資料)を応募したことです。既存の資料とは全く異なる形で作ろうと、最小限の言葉で最大限のインパクトを生むような表現を練ったり、デザインや色味を考えたり、チーム一丸となって仕上げられたことはすごくいい経験になりましたね。選考結果は、数カ月先なのでどんな結果が出るのか、今からドキドキしています(笑)。

消費よりも、投資の話をしよう! 女性の経済力を高めたい

社会人として働き始めた後のことになりますが、一家の大黒柱であった父が急逝したり、自分自身も病気にかかったりするなど、プライベートで様々な出来事を経験してきました。そうした中で、「女性が経済的に自立すること」はとても大事なことだと痛感するようになりました。

幸い、フィデリティは金融の知識が豊富な女性がたくさんいるので、先輩たちがランチタイムに資産運用のアドバイスをしてくれたり、様々な知識を教えてくれたりしたので、すごく勉強になりまして。そのおかげで私自身も蓄えを増やすことができ、ついにはマイホームを手に入れることができました。

女性同士だと、「最近、これを買った」とか、「どこに旅行に行った」とか、消費の話題のほうが多くなり、投資の話はする機会はあまりないかもしれません。でも、男性よりも平均寿命が長い女性こそ、経済について十分な知識を得て、先立つものを持っておく必要がある。そのためには、身近な相手とお金の話がもっと気軽にできたらいいなと思うのです。

フィデリティでは、女性がこれまで以上にお金に強くなるための“The financial power of woman”というキャンペーンを世界的に展開しています。国内では日本女性の投資に関する意識調査をまとめた白書を発表し、「お金のケイコをはじめましょう」というフレーズで、女性の投資への意識を高め、さらなる経済力向上のための取り組みを行っています。私もプレスイベントで講演をさせてもらいましたが、多くの女性たちに投資への前向きな関心を持ってもらいたいと力を注いでいます。

この仕事が大好きで没頭していまいがちな私に、ほどよく「オフのスイッチ」を入れてくれるのが、3年前に結婚したイタリア人の夫です。私が仕事に集中していると、「そろそろ晩ごはんの時間だけど、帰らないの?」と電話してくるんです(笑)。夫が育ったイタリアでは、人生において家族が第一で、仕事はその一部でしかありません。ついつい仕事が第一になってしまう私に、いい意味で新しい価値観を加えてくれて、視野が広がったように思います。

そんな夫の影響もあり、夏休みは毎年1週間~10日ほど取り、海外の美しい島々に行き、セーリングを楽しむように。これまで行った中で一番よかったのは、クロアチアです。エメラルドグリーンの海をヨットで渡り、電波が一切つながらない無人島でひとときを過ごす。時に、大海原にボートを停め、波の音しか聞こえない静寂の中で漂う時間はすべてから解き放たれ、リセットしてくれます。その時間が、仕事への英気を養ってくれるんです。

編集後記

華やかでありながら、清らかな美しさを持つ藤田さん。瞬時にインタビュアーの質問の意図を受け取り、的確に答えてくださる・・・その姿から一瞬で聡明な方だと分かります。学生時代から経済や金融について学び、さらに仕事を通して知識を十分に蓄えてきた藤田さんは、正真正銘のお金のプロフェッショナル! 今すぐ相談に行きたいと思えるほど頼りがいがあり、初心者にも優しく、わかりやすく教えてくれます。これまでの人生でお父様との悲しい別れ、ご自身の病気のことなど様々な経験をしてきた藤田さんだからこそ、人の痛みに寄り添う優しさにあふれていると感じました。

感銘を受けたのは、ビジネスの第一線での活躍ぶりはもちろん、イタリア人の旦那様との素敵ライフ! 夏はヨーロッパの美しい島々をめぐり、セーリングをすると聞き、ただただ憧れの眼差しを向ける取材陣なのでした。

取材・文/伯耆原良子 

フィデリティ投信株式会社
1946年にアメリカ・ボストンで誕生し、現在では世界26カ国以上の個人投資家や機関投資家に向け、資産運用サービスをグローバルに展開するフィデリティ・インターナショナル。その日本拠点として1969年にフィデリティ初の海外拠点として開設されたのが、フィデリティ投信株式会社。国内外の年金基金や機関投資家、投資信託の設定・運用など、幅広い顧客層に資産運用サービスを行っている。

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