【書評】世界が取り組む“アジェンダ”について理解する『SDGsビジネス戦略』

【書評】世界が取り組む“アジェンダ”について理解する『SDGsビジネス戦略』

近年、メディアで「SDGs」という言葉を頻繁に見かけるようになりました。このSDGsには一体どんな意味があり、どんな活動が行われているのでしょうか?そこで今日は、“未来を考える上で欠かせない”SDGsについて、理解を深めたいと思います。


著者・あらすじ

ピーター・D・ピーダーセン

一般社団法人NELIS代表理事、リーダーシップ・アカデミーTACL代表。1967年、デンマーク生まれ。コペンハーゲン大学文化人類学部卒業。

竹林征雄

一般社団法人日本サステイナブルコミュニティ協会顧問、株式会社エンビプロ・ホールディングス、シン・エナジー株式会社顧問。

あらすじ

リーダーシップ・アカデミー「TACL」 代表が、「SDGs」について一冊の本にまとめます。「SDGsとは」「企業が取り組むべきSDGs」「SDGsの取り組み事例」など、SDGsについて、網羅的に学べる内容となっています。

1. “SDGs”とは?

そもそも“SDGs”とは、何を指す言葉なのでしょうか?SDGs(エス・ディー・ジーズ)とはSustainable Development Goalsの略で、「持続可能な開発目標」という意味です。

2015年9月の国連総会で採択されたもので、国連加盟193か国が2030年に向け、世界が共通して取り組む17の共通目標です。そのコンセプトは、「No one will be left behind」で「地球上の誰一人として残さない、または誰も置き去りにしてはならない」というのが大原則にあります。

では、具体的にどんなことをするのでしょうか?SDGsには、世界の危機的状況にある「環境、社会、経済」という3つの側面から、包括的に課題を解決するための施策があります。

世界共通で、「最優先に解決すべき課題」を抽出し、望ましい「将来像」を明示します。それに向けての「17のゴール」と「具体的169の行動」、進捗状況をモニタリングするための「232の指標」を設定し、2030年に達成することを定めています。国連総会で正式に採択され、各国が目標に向け、行動を開始しています。

2. “SDGs戦略”の基本

では、企業経営における“SDGs”は、どんなことをすればいいのでしょうか?その基本的な戦略として、「トレード・オン」という考え方があります。著者はこれからの企業経営において、自然環境や社会との「トレード・オフ」(二律背反)の考え方では、許されない時代がやってきていると述べます。

「トレード・オン」とは、「トレード・オフ」の反対の意味で、「善の循環」や「ポジティブ・スパイラル」を意味します。「トレード・オン」を行うためには、企業が事業活動を通して、環境、社会、経済に与える影響を考慮する「サステナビリティ経営」を行い、社員のモチベーションを上げ、外部評価を高める経営が必要になってきます。

これらを実践するには、「理解」「行動」「表現」という3つのステップを踏みます。「理解」とは、“SDGs”を深く理解し、時代背景や自社の立ち位置を理解します。「行動」とは、アイデアを出し、組織として一体的に行動することです。

「表現」とは、ディスクロージャー(情報開示)の強化、ブランド表現の刷新、顧客との繫がりを考えることです。この「トレード・オン」という基本的戦略思考が“SDGs”の実現に大きく貢献するのです。

3. SDGsの取り組み事例

本書では、実際にSDGsを取り組んでいる会社が紹介されています。「アミタホールディングス株式会社」では、企業向けの「環境戦略デザイン事業」と、自治体・地域向けの「地域デザイン事業」の2つの事業を展開しています。

アミタでは、SDGsに関連する2つのアプローチを行っており、1つが、「問題発生を回避するソリューション提供」です。これは、企業が環境に与える影響や、将来的な環境制約を明らかにすることです。原料の調達元や排出するCO₂など、サプライチェーン(供給連鎖管理)を分析し、社会的責任投資や、顧客の購買行動に関する基準を取り入れた環境戦略を立てることです。

もう1つが「複数の課題を包括的に解決するモデル提案」です。これは、アミタの「BIOシステム」のことを指します。BIOシステムとは、「地域の未利用資源を活かした、最適な環境のしくみを作る拠点」のことを指し、コンパクトな自立型の地域づくりを実現するサービスのことです。

宮城県南三陸町の「BIOシステム」は、南三陸町から排出される生ごみ、余剰汚泥から、バイオガス(電力・熱)と液体肥料が生成されます。地域住民との連携により、資源が再生できるシステムを構築しているのです。

まとめ

SDGsについて解説しました。SDGsのコンセプトである「地球上の誰一人として残さない、または誰も置き去りにしてはならない」を実現するには、マクロである国や企業が、いかにミクロである私たち「個人」を動かすことができるかにあります。そして、「個人」である私たちも、企業と社会が一体となることに対し、関心を持つことで、共に発展していくことができるのです。

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