【書評】どんなビジネスシーンでも“対応できる人”になる『ビジネスで使いこなす「定量・定性分析」大全』

【書評】どんなビジネスシーンでも“対応できる人”になる『ビジネスで使いこなす「定量・定性分析」大全』

「意思決定のスピードを上げたい」「問題解決力を身につけたい」上昇志向の高いビジネスパーソンであれば、誰もが抱える願望です。どうすれば意思決定のスピードが上がり、問題解決力が身につくのでしょうか?そこで今日は、さまざまなビジネスシーンに対応できる、この「2つの力」が身についてしまう本をご紹介いたします。


著者・あらすじ

中村力

北海道大学大学院理学研究科修了。公益財団法人日本数学検定協会学習数学研究所上席研究員。JFEスチール株式会社で、企業戦略、商品開発、セールスエンジニアなどを担当。業務改善(導入費用対効果)、市場調査、秋葉原量販店への販売促進、需要予測などを定量分析・定性分析で行う。

あらすじ

「ビジネス数学検定」を立ち上げた著者が、ビジネスで使える「定量分析、定性分析」についてまとめます。「定量分析、定性分析とは」「定量分析の方法」「定性分析のフレームワーク」など、ビジネスの現場ですぐに使える手法を解説します。

1. 定量分析・定性分析について知る

「定量分析」「定性分析」とは、一体どんなものでしょうか?「定量分析」とは、数値をもとに「意識決定」を行う手法です。定量情報(数値データ)を用いて、目的である事象を客観的に把握し、評価と分析を行います。

目的に応じた指標の大きさを比較する。2つの事象から相関分析をする。ある事象の時間的推移を分析する。これらの分析結果により、様々なビジネスシーンにおいて、精度の高い「意思決定」「戦略策定」を行うことができます。

定性分析とは、論理思考、創造的思考、システム思考を用いて問題解決を導く方法を指します。定量分析と同様に、分析の目的によって定性情報を収集します。定性分析では数字を使わず、独自の分析手法を行います。

物事を要素分解し、どんな階層構成か分析する「構造分析」。階層分析ではなく、2軸のマトリックスで分析する「SWOT分析」。要素から別の要素に生み出していく「創造的思考」。因果関係の要素間を分析する「システム思考」。本書では、これら4つが定性分析の主な手法となります。

2. 「定量分析」「定性分析」のメリット・デメリット

「定量分析」と「定性分析」を使いこなすためには、メリット・デメリットを知っておく必要があります。「定量分析」の主たるメリットは、数値指標に基づいた意思決定のため、「客観的で判断のブレが少なくなる」、社内稟議の際、数値根拠があるため「コミュニケーションやプレゼンに説得力が増す」ことがあげられます。

主となるデメリットは、「基本的に過去の情報やデータに基づく分析である」ため、将来分析では効果を発揮しない。誤って信憑性の低いデータや情報から分析した場合、すべてが水の泡となる「定量データ・情報自体の問題が潜んでいる」ことがあげられます。

次に「定性分析」の主たるメリットは、因果関係、対極性などの構造を知ることができるので、「数値で表せない情報やデータを分析する」ことができます。過去のデータだけではなく、将来の展望や予測ができるようになるので、「企業ビジョンや展開など未来志向に関する内容も含む」ことが魅力です。主たるデメリットとして、数値根拠がないので「客観性に欠ける」。客観性に欠けるため、「評価リスクを考慮する」必要性が出てきます。

このことから、定量分析、定性分析のメリットを活かし、デメリットを最小限にするためには、相補的に「組み合わせる」必要があります。

3. 定性分析のフレームワーク

定性分析は数値データに基づかないため、「フレームワークが必要」となります。本書で取り上げられているフレームワークとして、「論理思考」「創造的思考」「システム思考」の3つがあります。

「論理思考」とは、ある根拠から客観的結論を導き出すための思考法のことです。原理や法則を結論として、そこから論理展開を行う「演繹法」。個々の事象から、原理や法則を導く「帰納法」などが、「論理思考」の代表的な方法です。

「創造的思考」とは、論理思考と対照的な思考法で、飛躍や矛盾も視野に入れた大胆な水平思考のことを指します。さまざまなアイデアを出し尽くすことで、突拍子のないアイデア、斬新なアイデアを生み出すことができます。

著者がおすすめするのが、「創造的思考でアイデアを出し尽くした後、論理思考でまとめていく」という方法です。最初に創造的思考でアイデアの枠を広げておき、その後、要素を論理的にまとめることで、精度の高いアイデアが残ります。

「システム思考」とは、現象や問題を構成する要素間が、複雑な因果関係を持つ問題を解決する方法のことです。ビジネスは、様々な社会現象や環境問題などの要素から成り立つシステムです。

この複雑に絡み合ったシステムの因果関係から考えることで、問題解決の糸口を探すことができるのです。これら3つのフレームワークを使うことで、定性的に問題を解決することができます。

まとめ

「定量分析、定性分析」について解説しました。「定量分析」は数値を元に分析し、「定性分析」は数値に頼らない分析です。この2つは、相反する分析方法ですが、お互いに補完しながら組み合わせることで、より精度の高い「答え」が見つかるようになります。数値から読み解き、フレームワークで考えることで、仕事が大幅に効率化するのです。

MinSuku
U29JOB
Recruit2020



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