【書評】“女性向けマネジメント”の神髄を知る『フルキャリマネジメント 子育てしながら働く部下を持つマネジャーの心得』

【書評】“女性向けマネジメント”の神髄を知る『フルキャリマネジメント 子育てしながら働く部下を持つマネジャーの心得』

今、仕事も育児も充実させたいと考えている女性が増えています。今までは、バリバリのキャリアウーマンか、子育てや家庭を優先させる専業主婦が一般的でした。しかし現代は、仕事も育児も充実させたいという“フルキャリ”と呼ばれる女性たちの進出が目立っているのです。そこで今日は、働き手として重要なキーマンとなる“フルキャリ”についてまとめられた本をご紹介いたします。


著者・あらすじ

武田佳奈

株式会社野村総合研究所未来創発センター上級コンサルタント。2004年、慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程を修了。同年、株式会社野村総合研究所に入社。専門は、女性活躍推進や働き方改革などの企業における人材マネジメント、保育や生活支援関連サービス産業など。

あらすじ

野村総研のコンサルタントが、仕事もプライベートも充実させたい“フルキャリ”のマネジメントについて解説します。「フルキャリとは」「フルキャリが望むこととは」「フルキャリを活躍させるには」など、フルキャリのパフォーマンスを上げ、労働生産性を上げる方法についてまとめます。

1. “フルキャリ”とは?

そもそも“フルキャリ”とは、どういう意味でしょうか?“フルキャリ”とは、仕事と生活どちらも可能な限り頑張り、充実させたいと考える働く女性のことを指します。

これまで一般的に働く女性といえば、仕事を優先させ、キャリア重視でバリバリ働く女性“バリキャリ”。または、家庭やプライベートを優先させ、それが許す範囲で働く女性“ゆるキャリ”のどちらかでした。

ところが近年は、仕事では周囲に応える成果を出し、自分を高めていきたいと考え、プライベートでは結婚も出産もし、家事や子育てに積極的に取り組みたいと考えている女性が増えています。

著者は、仕事も生活もFull(溢れるほどいっぱい)に取り組みたい女性を“フルキャリ”と名付けました。著者がおこなった5454人を対象とした調査によると、50.3%の働く女性が「仕事も生活も意欲的に取り組みたい」と答えており、実に2人に1人がフルキャリという結果があります。

これから訪れる人材不足の時代に企業が生き残るには、このフルキャリのパフォーマンスをいかに最大化することが必要不可欠なのです。

2. “フルキャリ”が望んでいることとは?

一般的に女性は「母親になると仕事への意欲が下がってしまう」と言われます。しかし、フルキャリは、母親になることで「より意欲が上がる」という特徴があります。

著者がおこなったフルキャリの「仕事に対する意欲調査」によると、「働くからには、職場の人や顧客を満足させられる結果を出したい」「自分のスキルや脳力を高めていきたい」と回答した人の合計が90%を超えました。さらに調査を進めると、「子供のいるフルキャリ」と「子供のいないフルキャリ」では、「子供のいるフルキャリ」の方が、仕事で多く成果を出しているという調査結果になりました。

フルキャリは、「母親になっても仕事に対する意欲は高い」ということが証明されます。これを踏まえながら考えなければならないのが、「フルキャリの望む」ことです。

多くの企業は、子育てしながら働くフルキャリへ「配慮」をおこないます。「プライベートな内容のコミュニケーションを控える」「人材育成を目標とした厳しめの指導を控える」などの配慮は、実のところ、フルキャリは望んでいません。

反対にフルキャリは、「家庭の状況を上司と共有したい」「スキルアップをしたい」など、配慮ではなく、「仕事のしやすさ」に重点を置いているのです。

3. “フルキャリ”のトリセツ

フルキャリは「仕事のしやすさ」を望んでいます。そこで必要となってくるのが、「マネジメント」です。フルキャリのポテンシャルを最大限に活かすマネジメントとして、「期待」「共有」「機会付与」の3つのキーワードがあります。

「期待」とは、「仕事の成長への期待」のことで、フルキャリ本人が、仕事を通じて自己成長し、組織のために貢献することを期待することです。「子供が小さいから」「復職したばかりだから」といった理由で、「期待しない」のではなく、“いちメンバー”として期待していることを伝えることで、フルキャリのパフォーマンスを上げることができます。

「共有」とは、「仕事への意欲と取り巻く家庭環境の共有」のことで、主に、「仕事やキャリアへの意欲の本音」と「本人を取り巻く状況」について共有します。仕事で自分が大事にしたいこと、家庭の状況を上司にわかってもらえることが、「仕事のしやすさ」に繋がります。

「機会付与」とは、「働き方に制約があっても成長や貢献を実感できる機会を与えること」です。やりがいを実感できる環境をつくる、成果を出せる環境をつくることで、フルキャリをうまくマネジメントできるのです。

まとめ

“フルキャリ”について解説しました。少子高齢化の進む日本では、確実に「労働力」が減少していきます。そんな中、新たな労働力としてスポットを浴びているのが、「女性」です。これからの時代、企業は彼女らの潜在能力を、いかに引き出すことができるかがカギとなります。フルキャリをうまくマネジメントすることで、大きな成果に繋げることができるのです。

MinSuku
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