【書評】“マーケット”の実態を知ることができる『日本の消費者は何を考えているのか?二極化時代のマーケティング』

【書評】“マーケット”の実態を知ることができる『日本の消費者は何を考えているのか?二極化時代のマーケティング』

「売り上げをアップしたい」「顧客をもっと増やしたい」今の時代、どんな企業でもマーケティングを重視した販売戦略を行っています。しかし、変化の激しい時代において、動向が読めず苦労する人は多いです。そこで今日は、あの大手総合研究所が調査した、「今の日本人の価値観」について取りまとめた本をご紹介します。


著者・あらすじ

松下東子

インサイトシグナル事業部上級コンサルタント。1996年東京大学大学院教育学研究科教育心理学専攻修了、同年野村総合研究所入社。

林裕之

アナリティクス事業部主任コンサルタント。2009年東京大学大学院新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻修了後、グローバルコンサルティングファームを経て、2015年野村総合研究所入社。

日戸浩之

日戸浩之

コーポレートイノベーションコンサルティング部グループマネージャー上席コンサルタント1985年東京大学文学部社会学科卒業、同年野村総合研究所入社。1996年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。

あらすじ

野村総合研究所のコンサルタントが、マーケティングに通じる「日本人の価値観」を解説します。「個人消費が進むワケ」「日本人の価値観変化」「消費二極化マーケティング」など、大規模アンケートからのエビテンスが詰まった一冊です。

1. 消費の“かたち”が変化している

株式会社野村総合研究所が行った「生活者1万人アンケート調査」によると、日本人の消費傾向がここ数年で大きく変化しているといいます。特に「個人消費」が進んでいると言われ、それらは、急速にリアル店舗からスマートフォンを使った、インターネットショッピングへと移行しています。

「インターネットショッピング利用者の年間平均利用回数」の推移によると、2009年の調査時では11回から、2018年の調査時では19.8回と2倍に伸び、高頻度化が伺えます。100人あたりの年間総利用回数で比較すると、2012年では424回だったものが、2015年には618回、2018年では990回と数倍にも成長しているのです。

これらの背景にあるのは、「個人消費」です。情報端末スマートフォンが一人一台まで普及した現代は、趣味嗜好が同じ者同士のコミュニティによって書かれるレビューから、ひとりで購入にいたる「個人消費」が購買意思決定になるのです。

著者はこれらの現象を「情報端末の個人化ひいては趣味生活の個人化が進んだことを背景とした時代効果である」とまとめています。

2. さとり・デジタルネイティブ世代の価値観とは?

次世代を築いていく20代の若者たち。堅実で高望みしない「さとり世代」。インターネットやパソコンのある環境で育ってきた「デジタルネイティブ世代」。これからの時代を創っていく彼らの「価値観」とは、一体どんなものでしょうか?

NRI「生活者1万人アンケート」によると、「超安定志向」という結果となります。「自分で事業をおこしたい」「より良い生活のためなら、今の生活を変える」「自分の考えに基づいて判断したい」といった意識は低い傾向が見られます。

一方で「有名な大学や学校に通った方が有利になる」という学歴志向は高く、世間体を気にするといった意識が高いという価値観があります。これらから新しいことに挑戦して、大きな成功を目指すよりも、失敗して安全なレールから外れてしまうことのリスクを取りたくない傾向があるのです。

このような価値観を持つのは、親世代が体験したバブル崩壊後の経済停滞期に育ち、倒産やリストラを目の当たりにしてきたことが原因です。このような時代背景が彼らの中に、将来を楽観視できない「超安定志向」を築き上げたのです。

3. 消費二極化が進む日本

今の日本は、消費のスタイルが二極化しているといいます。特に顕著であるのが、「ネット通販」か「リアル店舗」という二極化です。現代は商品を購入する際の情報源として、デジタルメディアが主ですが、「店舗の表示情報」「販売員の意見」など、リアル店舗の情報参照が重視される傾向が高まっています。

これは、実際に店舗に足を運び、見て触るといった五感での体験や出会いを期待している表れといいます。消費者の中で、「街に出て楽しんでみよう」という、インターネットショッピングでは享受できない、体験やエンターテインメント性の高さを重視しているのです。

計画購買であれば、利便性の高いネットチャネルを利用し、体験やエンターテインメント性を求めるのであれば、リアル店舗を利用します。このことから、消費者はリアル店舗を、「ネットショッピングの際の実物を確認するための場」として考えてはいないことが伺えます。

著者は、リアル店舗で重視すべきこととして、エンターテインメント性で集客し、消費者に体験を与え、興味を引きながら、そこからスマートフォンによる情報検索、購買に繋げることが重要と述べます。リアルとデジタルを使い分けたマーケティング戦略が必要な時代なのです。

まとめ

マーケティングに役立つ「日本人の価値観」について学びました。本書は大規模な調査から生まれたデータです。データは数字の羅列に過ぎませんが、この数字こそが「事実」なのです。この事実に至った経緯を推測することで、不確実な未来を予測することができるのです。データから得られた現状を把握する力は、大きな成果に繋がることは間違いありません。

MinSuku
Partner Agent
U29JOB



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