【書評】忘れかけている“大事なもの”に気づく『仕事と心の流儀』

【書評】忘れかけている“大事なもの”に気づく『仕事と心の流儀』

「効率化」や「業務効率」が叫ばれて久しい今日。しかし、なぜか成果に繋がらないという事態が起こっています。一体、何が原因となっているのでしょうか?実は、現代人が忘れかけている「あること」が一因かもしれません。そこで今日は、今、日本人が必要とされるであろう「仕事の基本的なこと」についてまとめられた本をご紹介します。


著者・あらすじ

丹羽宇一郎

元伊藤忠商事株式会社会長、元中華人民共和国特命全権大使。1939年、愛知県生まれ。名古屋大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。1998年、社長に就任。1999年、約4000億円の不良資産を一括処理し、翌年度の決算で同社史上最高益(当時)を記録。2004年、会長に就任。現在、公益社団法人日本中国友好協会会長、早稲田大学特命教授、福井県立大学客員教授、伊藤忠商事名誉理事。

あらすじ

百戦錬磨の実業家が、「仕事」と「心」について指南します。「成長に必要なもの」「仕事と人生について」「上司と部下の関係」など、働く人すべてに本質を語ります。

1. 心の成長に必要なもの

本書のタイトルにも含まれている「心」というキーワード。心の成長に必要なものとして、「逆境」をあげています。伊藤忠商事に入社した著者は、6年目にしてアメリカに駐屯していました。当時の伊藤忠は、業界で1,2を争うシェアを占めていました。

この時、穀物相場で15億円の損失をしてしまいます。著者は会社をクビになる覚悟で、包み隠さず報告します。人間の非情さと、挫折感を味わいながらも、起死回生を狙ったのです。必死に情報をあつめ、全力で努力しました。

自分の足で産地へ向かったり、天気予報会社と契約して情報を集めたり、アメリカ気象庁の資料を分析したりと、地道な努力をするうちに確証できる情報を得ます。それに賭けた結果、相場は急騰し、1日に1億円ずつ回復。含み損を解消し、利益を出すことができたのです。

この経験を機に、著者は、「どんなに苦しくてもあきらめてはいけない。努力を怠ってはいけない。」と考えるようになります。どんなに苦しい逆境でも、好機だと思って努力することで、人間は鍛えられ、心が成長していくのです。

2. 仕事をする上で必要なもの

本書のタイトルにも含まれている「仕事」というキーワード。仕事をする上で必要なものとして、「努力」をあげています。なぜなら人間の能力は99.9%同じだから、成功する人とそうでない人の差は「努力の差」だからです。著者は「人間の能力や適正にはほとんど差がない」という考えから、開花するかどうかは、「どれだけ努力したか」に尽きるといいます。

一流スポーツ選手や天才とよばれる人々は、努力に努力を重ねた結果、才能を発揮し、能力を開花できたのです。著者はこの才能が開花した瞬間を「DNAのランプ」と表現しており、このDNAのランプがポッと点くまで、努力をすることが必要といいます。

今時の若者は、1年や2年で「この仕事は向いていない」と言って辞めてしまいます。しかし、1年や2年で仕事の面白さはわかりません。最低でも3年、本当の面白さがわかるには10年の歳月が必要です。責任のある仕事を任せられた頃にやっと、仕事の面白さや喜びを味わうことができるのです。

3. 「努力の差の法則」

「いくら努力しても成功しない」という人がいます。しかし、自分では努力しているつもりでも、努力が足りていない人がほとんどです。自分がどれだけ努力をしているか判断できる方法があります。それが「努力の差の法則」です。

別名、「2:6:2の法則」とよばれ、例えば100人の社員がいるとして、上位20人は高い生産性をあげ、会社を牽引していく社員。中位60人は、普通に仕事をする平均的な社員。下位20人は平均より下の、生産性が低い社員。会社の社員、学校の生徒など、これらが「2:6:2」の割合になることから、この法則がうまれました。

著者は優秀な人と、そうでない人の差を次のように明言します。それが「情熱」と「気力」があるかどうかです。つまり、上位2割の優秀な人というのは、情熱と気力を持ち合わせ、努力している人です。

「能力や適正の差はほとんどない」ことを踏まえると、「情熱」と「気力」も持ち、努力をしていれば、上位2割の優秀な人になれるということです。著者は、ここでも「努力」の必要性を説いています。

まとめ

著者は最後に、「どっちに転んでもたいしたことがないような仕事を続けても、感動や感激はありません。成長もありません。」と述べています。しきりに努力の重要性を説いているのは、人間の成長には、「体が震えるくらいの緊張を持って仕事をしなければならない」ということです。

努力に努力を重ね、緊張感を持って仕事をすることで、人は感動したり、成長したりできるのです。効率化が叫ばれている現代のビジネスシーンで、「泥臭さ」にスポットを当てることで、今まで見えなかったものが見えてくるようになります。

MinSuku
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