ペーシングとは何か?

ペーシングというのは心理学のミラーリングと同じく、相手の言葉や非言語に合わせて生まれたコミュニケーションのひとつです。
表面的な付き合いでは、お互いに正しく理解し合うのは難しいですよね。そんな時にペーシングを意識した話し方をすると、安心感や親近感が湧いて会話の内容もさらに濃くなるのです。
私たちは会話の際に、自分の言いたいことをきちんと相手に伝えるため、自分の言葉遣いや話し方を意識しすぎることがよくあります。
考えすぎると逆に相手との距離感が生まれ、よくわからない人という印象を与えてしまうでしょう。ペーシングとは簡単に言うと、相手の呼吸のペースや話し方などに合わせること。「ペースを合わせる」ということから、ペーシングと呼ばれています。
会話の一体感を作る
ペーシングの目的は、話し手と聞き手の一体感を作り出すことで、それにより信頼関係がさらに強化されます。性格が違う人同士が話をすると、どうしても話し方やアプローチの手法が変わってしまいますよね。
すると一方的に自分の話ばかりをして、終わってしまう可能性もあるのです。ペーシングが有効に活用できるのは仕事、家族、恋愛、友人などあらゆる人間関係をさらにレベルアップすることが可能。
話し下手な人ならペーシングの話し方をマスターすれば、もっと楽にコミュニケーションがとれ、話し上手な人ならさらに相手を説得できるスキルにもつながります。
本音で語りたい場面では、お互いに安心感を得るのが基本。カウンセラーやセラピストなどもペーシングのスキルを使い、人の心の奥を判断することがあるのです。
ペーシングの効果について
相手の話すスピードに合わせる、声のトーンを合わせるなど、自分と似た話し方をする人には無意識のうちに警戒心がなくなります。またコミュニケーションが円滑になると、自分の肯定感も増して相手と信頼関係が築けるため、馴染めない人とはペーシングで近づくことも可能なのです。
また相手と意見が食い違う場面、普通なら自分の考えを押しつけたくなるのが自然な感情。ペーシングの話し方を意識すると、自然と相手の価値観や意見を受け入れられるようにもなります。
職場なら部下や上司など、年齢が違う人との付き合いも求められ、そのたびに相手に気に入られるよう意識しながら会話するのはストレスになりますよね。
ペーシングは話を聞く姿勢から始まり、相手にプレッシャーをかけず心理的に近づく効果が期待できます。自分の存在価値をアピールするためにも、話し方を少し変えるだけでぐんとイメージが変わるでしょう。
ペーシングのテクニックについて

ペーシングを話し方に取り入れるのは、決して難しいことではありません。最初に意識するのは、相手の話すスピードと声の大きさを合わせること。たとえば同じ出身地の人なら方言を使うと、さらに親近感が湧いてきます。そして次は言葉の使い方をペーシングすることです。
たとえばカタカナ言葉を多く使う人なら、合わせて同じ使い方をしてみましょう。「挑戦する」を「チャレンジ」すると言う人、若い人が使う略語など。
相手が使う言葉を意識して合わせると共通点が生まれ、どんどん話題も出てくるかもしれません。さらにペーシングは話し方だけでなく、非言語の分野でも相手に合わせると心理的に近距離に感じられ、もっと自分をオープンにしたくなります。
最初のデートで緊張するカップルのように、心の距離を縮めたい相手には動作を合わせる手法も有効です。全く同じ動きをするのでなく、手を置く位置を同じにするなど動作のリズムに合わせて、自然と動きをペーシングすること。さらに嬉しい、悲しいなどの感情の起伏を合わせると、もっと居心地がよく感じられるはずです。
価値や感覚を合わせる
ペーシングの話し方でもうひとつ意識したいのは、相手の価値観や感覚を受け入れて合わせること。相手と意見の食い違いがあると、会話全体に否定感が生まれてしまいます。
他人を前向きに受け入れるためには、まず自分から歩み寄るのも大切なので、意見や考え方など漠然としたところも共感してあげるとよいでしょう。共通点がひとつでも多くある人とは、何となく話しやすくなります。
まとめ
ペーシングは、自分の話し方を見直す際に意識したいテクニックです。もっと他人に好感を与えたいと思った時は、自分でなく相手を優先して会話をリードするのも大切なのでしょう。些細な心がけだけで、人の心を動かすことができます。会話はもっと近づくための情報交換として活用してみましょう。