花王株式会社のメイクアップ研究所は、人工知能(AI)技術のひとつである深層学習(ディープラーニング)を用いて、肌の見た目の印象を客観的・定量的に評価し、さらに画像化する「肌評価AI」を開発したと発表しました。
化粧感評価AIによる解析結果可視化例
人は、肌の色・質感などのわずかな違いを瞬時に読み取ってその印象を感じ取ることができますが、今回発表された「肌評価AI」の技術を活用すれば、化粧感・化粧くずれの程度・年齢印象などを、客観的に評価することができるとなるとしています。
同社では、肌を美しく魅せるメイクアップ化粧品を提供するため、これまで見た目の肌印象を評価するさまざまな手法を開発してきたといいますが、多様で繊細な肌印象の違いを人の目と同じレベルで評価することは難しく、また特殊な装置を必要とするなどの課題もあったといいます。
今回発表された技術では、実際の顔の画像から小領域を切り出した肌パッチを深層学習(ディープラーニング)のデータとして使用することで、今まで目視評価に頼らざるを得なかった肌印象を精緻に評価できるモデルを構築したといいます。これは、キメ・毛穴・シワ・化粧料の分布など、肌評価において重要な要素を見極めるために、独自に有効な特徴を見つけ出すというディープラーニングの特長が最大限発揮される手法だったとしています。
一般的なAIと本手法の違い
同社では、今後もAIの改良を進め、評価項目の範囲を広げるとともに、肌実態調査や化粧品の商品評価に広く活用することで、より魅力的な化粧品開発につなげていきたいとしています。