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【調査報告】今どきビジネスパーソンの「キャリア志向」について 「会社に依存したくない!」キャリア志向の多様化進む傾向 「会社員と副業の両立」「起業・独立」でキャリアを積みたいとする人が48.3%と 「会社員としてキャリアを積みたい」とする人の割合と並ぶ結果に

総合転職エージェントの株式会社ワークポート(所在地:東京都品川区、代表取締役社長 CEO:田村高広)は、全国の現役ビジネスパーソン470人(20代~40代・男女)に、自身のキャリア形成についてどのような考え方、価値観を持っているのかなどを聞く「キャリア志向」についてのアンケート調査を行いました。

■【キャリアと向き合う機会】 74.0%がコロナ禍以降「キャリアを見つめ直す機会が増えた」と回答

 働き方改革、高度プロフェッショナル制度、リモートワーク、副業解禁、ワーケーション、ジョブ型雇用…など、この数年のうちに働き方やキャリアに関する新しい制度や言葉を数多く耳にするようになりました。終身雇用の崩壊が叫ばれ、ひとつの会社に定年まで勤め上げることが当たり前とされた時代から、今や転職や自分らしい働き方を求める時代へと変化してきました。多様な働き方、キャリアの積み方がある中で、今どきのビジネスパーソンはどのような「キャリア志向」を持っているのか調査しました。まず、今回の調査対象者470人に、コロナ禍以前と比べて自身のキャリアについて考える機会は増えたか聞いたところ、「増えた」と回答した人が74.0%に及ぶ結果となりました。新型コロナがもたらした変化などによって、自身のキャリアと向き合い、見つめ直そうとする人が多いことがわかりました。

■【キャリアに対する不安】 自身のキャリアに対して不安を抱えている人は82.4%に及んだ

 さらに、自身のキャリアについてどう感じているか聞いたところ、「とても不安」と答えた人が36.2%、「やや不安」と答えた人が46.2%となり、82.4%もの人が自身のキャリア形成について不安を抱えていることがわかりました。

 どのようなことが不安なのかを聞いたところ、おもに「会社の将来性や雇用が継続されるかどうかについての不安」、そこから派生して「今後安定した収入を得られるかどうか」など、現在の勤務先で会社員としてキャリアを積むうえでの不安を挙げる人が大多数でした。また、「現在のキャリアがほかの会社で通用するのかどうか」、「このまま単一の経験を積んでいるだけでよいのかどうか」、「転職先が見つからないのではないか」など、転職を見越したうえで自身のスキルや経験値が不足しているのではないかという不安を挙げる人も目立ちました。そのほか、「そもそもやりたいことがわからない」、「どんなキャリアを積むべきかわからない」など、キャリアを描くことができないことに対して漠然とした不安を挙げる人や、「年齢を重ねることでどんどんチャンスが減っていく気がする」という、年齢に関する不安を挙げる人も散見されました。
 ここ最近コロナ禍の影響もあり、私たちを取り巻く環境は著しく変化しています。先を見越すことが困難であるということも、働き手の不安を掻き立てる大きな要因となっていると考えられます。

▼キャリアに対してどんな不安があるか
「会社の将来性が不安」(30代・男性・クリエイター)
「今の職場で自身の描くキャリアが手に入れられるかどうか不安」(40代・男性・金融)
「将来的に家族と自分を守れるだけの給与=評価が得られないのではないか」(40代・男性・管理系)
「これまでの経験が他社で通用するのか不安」(40代・男性・機械系エンジニア)
「このまま単一の経験で良いのかどうか」(30代・男性・管理系)
「35歳を過ぎてなお、一般的な事業会社での正規雇用経験に乏しいこと」(30代・男性・事務)
「年齢と共に挑戦できる機会が減少すること」(40代・女性・事務)
「このまま現職にいてもこの先に何がしたいかわからない」(30代・男性・営業)

■【キャリア志向:志望するポジション】ゼネラリスト派とスペシャリスト派は五分五分 大きな偏りなし

 対象者にゼネラリスト(管理職)とスペシャリスト(専門職、技術職)のどちらのポジションでキャリアを積んでいきたいかを聞いたところ、「ゼネラリスト」と回答した人が50.6%で、「スペシャリスト」と回答した人は49.4%と、ほぼ半々に分かれる結果となりました。

 いずれも自分の特質に合っているからという理由が多く見られましたが、挙がった意見を総合して見てみるとゼネラリスト派はより広い視野を持って働きたい、人や組織を動かす経験を身につけ、いずれ経営に携わりたいという志向の人が多く、スペシャリスト派は一つの技術や知識を極めることで、自分自身の市場価値を高めて、会社に依存しない働き方をしたいという志向の人が多い傾向がありました。
 また、エンジニアやクリエイターなど、専門的な技術を売りにする職種の人はスペシャリストとしてキャリアを積んでいきたいと志望する傾向も見えました。

▼「ゼネラリスト」派の意見
「不安定な時代だから、どんな場合にも通用する知識や能力を身につけたいから」(20代・女性・事務)
「年齢が上がるとともに、管理職需要の方が高くなるから」(40代・男性・マーケティング)
「どんな時代でも業界でもマネジメントスキルは役立つため」(30代・女性・マーケティング)
「特化すると選択肢を狭める可能性がある」(30代・男性・マーケティング)
「より大きな仕事に取り組みたいから」(20代・女性・機械系エンジニア)
「人の成長に喜びを感じるため」(20代・男性・営業)
「経営者になりたい」(30代・男性・管理系)

▼「スペシャリスト」派の意見
「人をマネジメントするより、自分の好きなことを極めていきたいから」(20代・女性・マーケティング)
「技術を磨きたい」(40代・男性・システムエンジニア)
「企業に依存しない働き方をしていきたいから」(20代・男性・品質改善)
「フリーランスになりたい」(30代・男性・製造)
「手に職を持っていた方が安定するから」(30代・女性・建築土木)
「出世よりもやりがいを重視したい」(30代・男性・営業)
「管理職になることのメリットを感じられないため」」(30代・女性・事務)

■【キャリア志向:志望するキャリアの積み方】会社員としてキャリアを積みたいとする人は51.7%だが、会社員と副業の両立や起業・独立を志望するなど、「会社の枠にとらわれない」派も半数近くに及んだ

 対象者にキャリアを積むためにどんな働き方を選びたいか聞いたところ、「会社員として働く」とした人が51.7%、「会社員をしながら副業する」とした人が41.3%、「起業・独立する」とした人が7.0%という結果となりました。
 会社員として働くことでキャリアを積んでいきたいという人が半数ではあるものの、会社員と副業の両立や起業・独立をするなど、「会社の枠にとらわれない働き方」でキャリアを積んでいきたいとする人も48.3%と半数近くに及んでいます。この結果からも、働き手の働き方やキャリア形成に対する価値観や志向性が多様化しているようすがうかがえます。

 それぞれの理由を聞いてみたところ、会社員として働きたいとした人からは、「収入や雇用の安定性がある」「起業のリスクが取れない」「一つの仕事に集中したい」「独立や副業をするスキルや経験値がない」などの保守的な意見が挙がり、安定志向の傾向があることがわかりました。
 一方、会社員と副業の両立でキャリアを積みたいとした人からは、「安定性を保ちつつ、やりたいことにチャレンジしたい」や「スキルや経験値の幅を広げたい」「会社に依存したくない」「収入をもっと増やしたい」などの意見が挙がりました。独立や起業のリスクは取れないけれど、会社員という安定した地盤を生かして、自身の可能性を試していきたいというチャレンジ精神にあふれる人が多いようすがうかがえました。起業・独立してキャリアを積んでいきたいとした人からは、会社員と副業の両立派より、一層チャレンジ精神の強さがうかがえるコメントが多数挙がりました。また、終身雇用の崩壊や給与アップが見込めない状況が続いていることに危機感を覚え、今後必要な人材として生き残っていくためには、会社という枠にとらわれない働き方で、柔軟にキャリア形成をしていく必要があると考える人も多く見受けられました。

▼「会社員」派の意見
「どこかに所属するということの精神的な安心感」(40代・男性・建築土木)
「安定的な基盤を築く事を優先したい」(40代・男性・営業)
「独立するよりもリスクが少ないから」(40代・男性・機械系エンジニア)
「起業・独立は大変そう。条件の良い会社だと、専門職の仕事に集中できる」(30代・男性・建築土木)
「副業、起業する能力が無いから」(40代・男性・機械系エンジニア)

▼「会社員と副業両立」派の意見
「安定と、複数スキルの獲得によるリスクヘッジのため」(30代・男性・教育)
「会社員として実践経験を積みながら、自分の可能性を広げたい」(30代・女性・コールセンター)
「会社員だけではなく副業もやっていくなかで相乗効果(知識経験スキル+収入)を生みたい」(30代・男性・営業)
「終身雇用という概念は持たないほうがいい情勢だから」(40代・男性・調査会社)
「会社に依存していたくないから」(30代・女性・マーケティング)
「将来的には起業したいため」(20代・男性・マーケティング)

▼「起業・独立」派の意見
「自分の可能性を信じてどこまでできるかチャレンジしたい」(40代・男性・営業)
「自分自身に責任を持ちたいから」(30代・男性・システムエンジニア)
「自らの意思で動きたい」(40代・男性・機械系エンジニア)
「終身雇用がなくなる、精神的に疲れた」(40代・男性・営業)

■【現在のキャリアの満足度】 思い描いていたキャリアを積めていると答えた人は3割程度に留まるも、5年後の未来に期待を込める人は5割に及んだ

 今回アンケート調査の最後に現在のキャリアに対してどう感じているかを聞いたところ、社会人になる前に思い描いていたキャリアを積めていると感じている人は31.9%と約3割に留まりました。一方で、5年後に思い描いているキャリアを積めていると思うか聞いたところ、「とても思う」が9.8%、「やや思う」が43.2%という結果となり、53.0%の人が未来のキャリアには期待感を持っていることがわかりました。

 5年後に期待感を抱いている人からは、「これからの転職活動に期待している」(40代・男性・コンサルタント)、「ここ数年でキャリアについて考えることが増えたため」(30代・男性・システムエンジニア)、「社会人になる前よりは明確な目標があるから」(20代・男性・接客販売)、「思い、信念、希望を強く持ちたい」(40代・男性・運輸)などの意見が挙がり、キャリアと向き合う機会が増えたことで、今後のキャリアの目標が明確になったこと、変化を起こすためには自らが行動を起こし、キャリアを切り開いていかねばならないという決意を新たにしたようすなどが見て取れました。

 ビジネスパーソンを取り巻く環境や価値観の変化が著しい中、これからの自身のキャリアを不安視する人が多いことがわかりましたが、「会社」という枠にとらわれず、柔軟な発想で自らのキャリアを切り開いていこうという志向を持った人が半数近くいることもわかりました。今回の調査結果から、働き方やキャリアに対する価値観の多様化は確実に進んでいることが垣間見られました。ジョブ型雇用を推進する会社が増えるなど、雇用形態の多様化がすすみ、終身雇用が当たり前でなくなった今、これからはより「個」を重視したキャリア観が定着していくかもしれません。「キャリアは自らで切り開いていくものだ」という価値観が当たり前になる時代はもうすぐそこまで来ているかもしれません。

■調査概要
調査内容 :今どきビジネスパーソンの「キャリア志向」について
調査対象者:当社を利用している全国のビジネスパーソン (20代~40代・男女)
有効回答 :470人  
調査期間 :2022年2月8日~2月14日
※データは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。

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