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【調査報告】「成人年齢引き下げ」に際する意識調査  4月から成人年齢引き下げに 61.4%が「18歳成人」は「ちょうど良い」と回答  消費者トラブルや20歳未満の飲酒・喫煙を懸念する声が上がる一方 18歳で「大人」の自覚が芽生えることで 政治・経済への参加意識高まることに期待感も

総合転職エージェントの株式会社ワークポート(所在地:東京都品川区、代表取締役社長 CEO:田村高広)は、2022年4月からの成人年齢引き下げに際し、全国のビジネスパーソン259人(20代~60代・男女)に、「成人年齢引き下げ」に関する意識調査を行いました。

■【成人年齢引き下げの認知度】 成人年齢引き下げは9割弱の人に注目される大ニュース

 いよいよ4月から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられ、約140年ぶりに成人の定義が変わります。そこで成人年齢引き下げに対し、先に”成人”を迎えている先輩社会人はどのように感じているのか、また「成人(大人)」の定義についての考えや意識を調査しました。
 まず、今回の調査対象者259人に、成人年齢引き下げを知っているか聞いたところ、「知っている」と回答した人が大多数に及ぶ87.3%という結果となりました。多くの人に認知されていることから、世間の注目度がかなり高いことがわかります。

■【成人年齢引き下げの評価】 6割以上が「18歳成人」はちょうど良い年齢と好評価
 高校卒業・社会人になるというタイミングの良さ、精神の成熟が理由か

 2022年4月から成人年齢が引き下げになることを触れた上で、18歳で成人を迎えることは早いと感じるか、それとも遅いと感じるか聞いたところ、半数を超える61.4%の人が「ちょうど良い」と回答しました。

 理由を聞くと、18歳という高校卒業のタイミングが子供と大人の区切りとして良いと考える人が大半を占めました。高校卒業後すぐに就職し、社会人になる人や起業する人がいることからもちょうど良いと感じるようです。また、海外では18歳の成人が主流であることを挙げ、日本でも問題ないとする人も多く、18歳は精神が成熟し、自覚と責任を持って行動できると考える人も多数見受けられました。2016年には選挙権も18歳に引き下げられていることもあり、「18歳成人」は妥当であると捉えられていることがわかりました。
 一方、34.0%の人は「早すぎる」と感じていました。理由として、経験不足により判断力、責任能力が成熟していないまま、親の同意を得ずに様々な契約ができることによって、トラブルに巻き込まれる若者が増えるのではないかと危惧する声が挙がりました。また、喫煙や飲酒可能年齢が20歳のままであることとの整合性が取れないことを懸念する人もいました。

▼「ちょうどいい」派の理由
「社会的に自由と責任を負う丁度良い年齢だと考えるから」(40代・男性・管理)
「インターネットの発達などの要因により、精神的な成熟が早まっていると感じるから」(20代・男性・営業)
「高校卒業後、社会で働いている優秀な若者もいるため」(40代・男性・システムエンジニア)
「高校卒業から社会人としての責任を考えることはいいことだと思う」(30代・男性・管理) 
「選挙権のある人口全体の高齢化に歯止めをかけられるため」(40代・男性・システムエンジニア)
「世界的に見ても18歳で成人を迎えるのは主流だから」(40代・女性・医療福祉)   …など

▼「早すぎる」派の理由
「社会経験がまだまだ未熟だから」(40代・男性・システムエンジニア)
「お酒やタバコは20歳からだから」(20代・女性・接客販売)
「高校生が成人ということに違和感がある」(40代・女性・マーケティング)
「精神年齢は昔より下がっている感じがする」(40代・男性・製造)       …など

▼「遅すぎる」派の理由
「自分達の成人のときより、個人でできることの幅が広くなっているから」(40代・男性・医療福祉)
「少年犯罪でも厳罰化すべきなので」(40代・男性・映像制作)              
「諸外国と比較して遅いと感じる」(20代・男性・システムエンジニア)        …など

■【成人年齢引き下げへの期待】 3割弱が早期からの自覚や責任感の芽生えによる積極的な社会参加に期待
 一方で消費者トラブルなど責任問題に対応できるか心配の声も

 さらに、成人年齢引き下げに対して「期待」と「心配」のどちらが大きいか聞いたところ、「どちらでもない」と回答した人が43.6%という結果であった中で、「期待が大きい」と回答した人が25.9%、「心配が大きい」と回答した人が30.5%という結果となりました。

 「期待している」と回答した人に、どんなことに期待を感じるか聞いたところ、「一人前の人間であるという自覚を、早くから保つことができること、それによる意識、行動の変化」(50代・男性・管理)や、「社会参加が早まること。責任を持った行動にも自己成長にも繋がる」(50代・男性・事務)など、自覚や責任感がこれまで以上に早く芽生えることを挙げる人が多くいました。また、若いうちから「大人である」という自覚を持つことで、「政治に関心を寄せる若者が増えることに期待」(20代・女性・接客販売)、「長期間にわたって国家を支える若年層の意見が、社会や政治に反映されやすくなることを望む」(40代・男性・管理)、「日本経済の起爆剤となる人材が増えることに期待する」(50代・男性・コンサルタント)など、若者の政治・経済への参加意識や影響力が高まることに期待する声も多数挙がりました。これらの意見から若者が社会に関心を持ち、貢献していくことで、経済の活性化や革新が進み、より良い国になっていって欲しいという願いが見て取れました。少子高齢化による社会の縮小が不安視される中で、今回の成人年齢引き下げには若者が社会で最大限に力を発揮する土壌づくりとしての役割を期待しているのかもしれません。ほかには、「社会的な責任を自覚することで、犯罪抑止につながるのではないか」(30代・男性・クリエイター)など、犯罪抑止力の高まりに期待する声も挙がりました。

 一方、「心配が大きい」と回答した人からは、18歳の成人を「早すぎる」と感じた理由と同様、「契約など、内容を理解できずに進めてしまう可能性が高い」(40代・女性・管理)などの消費者トラブルや、「20歳になってから出来ること(飲酒、喫煙等)を成人になったことを理由にしそう」(20代・女性・営業)など20歳未満の飲酒喫煙を憂慮する声が挙がりました。学校教育を含め、社会全体で新成人を守る仕組みづくりが求められるかもしれません。

■【成人の定義】 おおよそ6割が「成人(大人)とは「自立し、責任を負うことができる人」と定義

 成人年齢引き下げに期待が高まる中、「成人(大人)」とはどんな人だと思うか聞いたところ、おおよそ3割の人が「社会的・経済的・精神的に自立している人」など、「自立」を掲げた回答をしました。また、約3割の人が「自分の行動・言動に責任を持てる人」など責任を重視していました。

▼先輩社会人が考える「成人の定義」
「経済的に自立している人、自分の選択に責任をもてる人」(40代・女性・企画)
「自身の考えをもっており精神的に自立している人」(20代・女性・教育)  
「物事の判断を自分でできる人」(50代・男性・営業)            
「社会的な善悪の判断ができる人」(30代・男性・企画)             
「異なる価値観があることを受け入れられる人」(40代・男性・管理)       …など

■【今どきの18歳 vs あの頃の18歳】 どちらも変わらないという意見が52.5%と大多数だが
 情報化・多様化社会により、自身の時代の18歳よりも、「今どきの18歳」の方が大人という意見も

 成人年齢引き下げに際し、「今どきの18歳」と「調査対象者自身の時代の18歳」を比較すると、どちらのほうが「大人」だと感じるか聞いたところ、「どちらも変わらない」という意見が52.5%と大多数を占める結果となりましたが、「今どきの18歳」と回答した人が32.0%と、「自身の時代の18歳」の15.4%を上回りました。

 「今どきの18歳」の方が大人だと考える理由を聞いたところ、「情報化社会となり、様々な情報に簡単にアクセスできる」(50代・男性・クリエイター)など、インターネットの普及により情報が手軽に収集可能なため、自身の時代よりもはるかに触れている情報量が多く、若年のうちから知見を深めている人の多さを挙げる意見が見受けられました。さらに「ネットワークの普及に伴い、若いうちから社会とのつながりは増えている」(50代・男性・システムエンジニア)など、インターネットを活かした人や間関係の広がりや社会とのつながりによって成長機会が増えていると感じている人もいました。こういった環境において「社会に出て行動を起こしている人が多い」(40代・男性・医療)という意見もあり、SNSの活用や、10代での起業など、若者の活躍を評価する人も多いようです。ほかには「価値観が多様化していて、選択肢も多い。その中から自分で選択できる力を持っていると感じる」(40代・女性・企画)という意見も挙がりました。特に、コロナ禍など未曾有の出来事に直面し、社会が混乱した中でも柔軟に変化をしながら生きる「今どきの18歳」を頼もしく感じる人も少なくないようです。先輩社会人は、比較的「今どきの18歳」に対し、しっかり考えて行動している印象を持っているようで、6割以上が「18歳成人」はちょうど良いと回答した結果にもうなずけます。

 一方で、「どちらも変わらない」と回答した人に理由を聞いたところ、「時代で変わるものではない」(40代・男性・購買)、「外的環境は違えど相対的には変わらない」(40代・男性・企画)、「精神の習熟度合いは世代で決まるものではなく、各々の経験で培われる」(30代・男性・建築)など、時代と成長への関連性は無いとする意見が多く見受けられました。また、「今の18歳の考えていることは確かに幼く感じることもあるが、自身のことを振り返ってみても大差ないと感じるから」(20代・男性・企画)、「自分の息子、娘を見ていると変わらないと感じる」(40代・男性・管理)と、実際に自分自身の18歳の頃と比べても大きな違いがないという意見も挙がりました。

 今回の調査から、先輩社会人は、「18歳成人」をちょうどよいと考える人が多く、成人年齢の引き下げに対しても比較的前向きに捉え、期待を寄せていることがわかりました。「大人」とは、「自立や責任感がある人」と考える人も多い中で、今回の成人年齢引き下げが、若者に対してどの程度「自覚」を芽生えさせるきっかけになるのか、今後の新成人の動向から目が離せません。また、すでに成人している人たちにとっても、今年4月から誕生する18歳・19歳の新成人の先輩として、「成人とは何か」、「大人とは何か」、人生を振り返り、考えてみるきっかけになるのではないでしょうか。

■調査概要
調査内容 :「成人年齢引き下げ」に際する意識調査
調査対象者:当社を利用している全国のビジネスパーソン (20代~60代・男女)
有効回答 :259人  調査期間 :2022年3月10日~3月14日
※データは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。

■ワークポートの教育哲学
ワークポートに「立派なビジネスパーソンである前に、立派な大人であれ」という教育哲学があります。
人材紹介ビジネスは信頼・信用のビジネスであり、お客様から信頼を得るためにはまず「人間としての魅力」を高めることが大切であると考えています。立派な大人とは、「当たり前のことをバカにせずにちゃんとやる人」と定義し、立派なビジネスパーソンになる前に、まずはひとりの立派な大人になることを目指すよう心がけています。そして日々、「立派な大人」になれているか自省を繰り返しています。

■本件に関するお問い合わせ
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