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【調査報告】人事担当者に聞いた! 企業の女性活躍推進の実態について 女性活躍推進企業は54.0% 82.7%が推進のメリット実感 社内制度の改善に好影響 一方で半数以上が推進にネックあり 人員・時間・社内理解の不足に悩む 女性管理職の割合が10%以下の企業は半数超え 働きやすさ向上が必須

総合転職エージェントの株式会社ワークポート(所在地:東京都品川区、代表取締役社長 CEO:田村高広)は、女性活躍推進法の改正に際し、全国の企業の人事担当者139人(100名以下~5000名以上の企業)を対象に企業でどの程度女性活躍推進の取り組みが実施されているのかなど、「女性活躍推進」に関するアンケート調査を実施しました。

■【女性活躍推進状況】取り組んでいる企業は54.0%という結果に

 「働きたい女性が個性と能力を十分に発揮できる社会」の実現を目的に施行された女性活躍推進法。4月からは適用される企業が従業員数101人以上の規模に拡大されましたが、実際に女性が活躍できる職場環境が整っている企業はどの程度あるのでしょうか。企業の「女性活躍推進」の実態について調査しました。
 100名以下から5000名以上のさまざまな規模の企業の人事担当者に、女性活躍推進の取り組みをしているか聞いたところ、「取り組んでいる」と回答した企業は54.0%という結果となりました。また、現在取り組んでいないが「これから取り組む予定」と回答した企業は7.9%でした。

 取り組んでいると回答した企業に取り組みの内容を聞いたところ、「従業員に占める女性の割合を増やす」(コンサルティング・調査・士業)など、女性の採用率を上げることを目指すという回答が多く挙がりました。さらに、「成果主義の徹底による女性の役職者登用」(建築関連企業)など、女性管理職の比率を増やすよう努める企業も多いようです。女性の管理職希望者を増やすために、女性向けの研修や説明会を実施し、管理職に対する不安を払拭するよう工夫する企業も見受けられました。
 また、「産休育休の制度設計、実績強化」(システム開発・情報通信)や、「産前産後休暇、ベビーシッター補助などの福利厚生」(WEBサービス・広告・コンテンツ制作)、「テレワーク勤務および時短勤務の導入」(ネットワーク・サーバー構築)など、制度や福利厚生を充実させ、働きやすさの向上に努めているという意見も多数挙がりました。ほかにも、厚生労働大臣が女性活躍や子育てサポートの促進などに積極的な企業を評価する認定制度「えるぼし」や「くるみん」の認証に向けた取り組みを通じて、推奨される女性活躍の環境を整えようとする企業もありました。

▼女性活躍推進の取り組みの具体例(一部抜粋)
「女性人材の積極採用、役職者への登用」(サービス・アミューズメント)
「育児休暇取得推進、フレックス、リモートワークの導入」(システム開発・情報通信)
「新卒採用における具体的な女性採用目標数の設定」 (システム開発・情報通信)  …など

■【女性活躍推進のネック】56.8%がネックあり 推進に割ける人員・時間の不足、女性活躍への意識の低さ

 人事担当者全員に、女性活躍の取り組みを推進するにあたってネックはあるか聞いたところ、「ネックはある」と回答した企業が56.8%に上りました。

 「ネックはある」と回答した企業に、ネックになっているのはどんなことか聞いたところ、「人員不足で取り組む余裕がない」(メーカー)など、取り組みたいという意思はあるものの、取り組みに割ける人員や時間が不足しているとの回答が多数見受けられました。また、女性が活躍できる環境を整え定着率を向上させようとしても、「育児と仕事の両立が難しい」(小売・販売)、「結婚・出産後の退職率の高さ」(システム開発・情報通信)など、家庭と仕事の両立が難しいという理由で離職を選択する女性社員が多いこともネックとなっているようです。さらに、「女性管理職が少なく、なりたがる社員が少ない」(システム開発・情報通信)など、管理職および管理職志望の女性の少なさもネックとして挙がりました。人事担当者は「女性活躍推進のために、女性が活躍できる環境を整えたいと考えていても、管理職志望の女性の少なさ故に、取り組みが進まない」というジレンマを抱えていることがわかりました。また、「対象となる女性社員が少ない」(技術サービス)、「女性の採用が少ない」(WEBサービス・広告・コンテンツ制作)など、そもそも女性社員が少ないため、取り組みを推進するに至っていないという意見も挙がっていました。
 ほかには、「会社が女性活躍を想定していないため、優秀な人材を採用しない」(建築)、「上層部・社員の無理解、無関心。女性社員自身も考え方が古い」(商社)など、社内の女性活躍への意識が低いことがネックになっているという意見もありました。とくに、比較的女性が少ない業界は、古い体質、体制が残り、女性活躍推進が進まないようすがうかがえました。女性社員が少ない故に「女性だからというバイアスが良くも悪くも働くこと」(建築)などの意見も挙がりました。これらのネックを解消しないかぎり、女性活躍推進の取り組みの結果はなかなか出ないかもしれません。

▼女性活躍推進のネック(一部抜粋)
「女性社員の採用難」(建築)
「出産・育児期間は、時間的・体力的・精神的に無理強いが出来ない」(ネットワーク・サーバー構築)
「管理職を嫌がる女性社員が多い」(システム開発・情報通信)
「役職でもっと活躍してほしい女性がいても、環境整備が不十分なのか同意が取れない」(システム開発・情報通信)
「クライアントがかなり男尊女卑の業界」(システム開発・情報通信)
「業界に横行しているハラスメント行為」(その他メーカー)         …など

■【女性管理職の比率】半数以上が10%以下 7割が女性管理職の少なさを課題と認識

 企業の人事担当者全員に、管理職に占める女性の割合はどれぐらいか聞いたところ、1%未満が28.8%、1%~10%が27.3%と、半数を超える56.1%もの企業が10%以下であることがわかりました。依然として、国際的に見ても女性管理職が少ない日本の水準が表れる結果となりました。

 さらに、管理職に占める女性の割合を多いと感じるか、少ないと感じるか聞いたところ、69.1%もの企業が「少ない」と回答しました。「ちょうどいい」と考える企業は26.6%で、「多い」と感じる企業は4.3%にとどまりました。半数以上の企業が、管理職の女性割合に課題を感じていることがわかりました。

■【女性活躍のメリット】82.7%がメリットが多いと回答 男女平等には女性の活躍が必須
 従業員の定着率・モチベーションアップ 企業のイメージアップにも効果的

 人事担当者全員に、女性の活躍が自社に与えるメリットは多いと感じるか聞いたところ、「メリットが多い」と回答した企業が82.7%と大多数を占めました。

 「メリットが多い」と回答した企業に、理由を聞いたところ、「女性ならではの感性を業務に活かせるから」(サービス・アミューズメント)、「新しい意見や考えを取り入れることができるから」(システム開発・情報通信)など、女性の意見も聞くことで、多様なアイデアが生まれることに期待するという意見が多く挙がりました。
 また、「女性の活躍なくして会社の成長もないから」(システム開発・情報通信)、「女性が経営の意思決定に入ってくることで、組織が強くなるから」(WEBサービス・広告・コンテンツ制作)など、企業の成長のためには女性の活躍が必須と考えるという意見もありました。ほかにも、「女性活躍推進とともに社内の制度改革ができるから」(WEBサービス・広告・コンテンツ制作)など、女性活躍を推進することで、男女ともに働きやすい仕組み作りが進むという意見もありました。
 ほかには、女性が活躍しているというモデルケースができることで、「求職者が比較的多くなり能力の高い社員を採用できる確率が高くなるから」(小売・販売)、「女性が活躍する=多様な働き方につながり、採用活動がしやすくなるから」(システム開発・情報通信)という意見も多く挙がりました。女性が活躍できる企業だからこそ、求職者が集まり、より優秀な社員を採用できる可能性が高まると考えているようです。

▼女性活躍の会社へのメリットが多いと回答した人の意見(一部抜粋)
「女性をターゲットとした事業に有利だから」(WEBサービス・広告・コンテンツ制作)
「女性ならではの目線やきめ細かな心配りが業務に活かせるから」(教育ICTメーカー)
「会社全体のワークライフバランスを推進できるから」(ゲーム開発)
「女性だけでなく社員全体が活躍することは望ましいから」(医療・福祉・メディカル)
「優秀な女性を雇用できる訴求につながる可能性があるから」(ゲーム開発)   …など

 人口減少が叫ばれる中、労働力不足を解消するには性別で差別することなく、より多くの人が活躍できるように環境を整えることが必要不可欠です。企業は女性活躍にメリットを感じているものの、思うように取り組みが進んでいないようすがうかがえました。ネックとして挙げられた人員不足、時間不足は企業努力で解決の余地はありそうです。しかし、当の働く女性が管理職を志望していないという現状については、様々な課題が複雑に絡み合っていると感じざるを得ません。女性活躍推進のために、真っ先に取り組むべきは何なのか、企業は今一度掘り下げて考えていく必要があるかもしれません。

■調査概要
調査内容 :女性活躍推進の実態について         
調査機関 :自社調査
調査対象 :当社を利用している全国の企業の人事担当者  
有効回答 :139人 
調査期間 :2022年4月12日~4月19日         
調査方法 :インターネット調査
※データは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。

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